ここベトナムで、ITを軸として三つの会社を経営される元尾さん。若くしてどこからそのエネルギーが生まれてくるのか?元尾さんを突き動かす夢とマインドセット、同じように海外で活躍したいと考える若い世代へのアドバイスを取材しました!
元尾優さん
法政大学卒業後、大手Web制作会社にて勤務。2010年の来越後、親戚が経営するIT企業での勤務を経て、現在、ベトナム在住日本人向け生活情報サイト、「POSTE Co., Ltd」のCoo-Founder。ホームページの作成や各種デザインの製作を行う「MOJA Co., Ltd. (旧名、ZACMO Co., Ltd.)」のCEO、ならびに、オフショア開発を請け負う「Brights VietnamCo., Ltd.」CEO。
「ホリエモン」と描いた夢
~IT×東南アジアのフィールドで活躍するまで~
ちょうど大学3年生の時、「ホリエモン」に代表されるITベンチャーの社長達がもてはやされていました。若くして成功して世の中に名を残し、芸能人と結婚したりしちゃって…。
ITに大きな夢を抱き、Web制作の大手企業に入社したのですが、3年目に転機がありました。ある大手会社のホームページ制作プロジェクトで大トラブルになり、毎日家にも帰れず対応に終われました。やっとの思いでトラブルを収めきったにも関わらず、評価されたのは自分ではなく、このトラブルの担当を降りて他の案件を担当していた社員でした。
頑張りを認めてくれなかった会社への不満と、この会社での出世チャンスに疑問が残り、このままだと「若くして成功する!」という夢が果たせないと我に返りました。
「会社を辞めよう。でも、転職するんだったら同じ日本のIT業界じゃつまらない。起業をする際に、これまでの先輩、そしてこれからの後輩含め、他の人ができないことや、他の人が持ち合わせていないものは何だろう。」
考えに考えた結果、自分にとってその答えは、「IT×東南アジア」のフィールドで勝負することでした。東南アジアはITの発展の遅れもあり、技術力・語学力が少し足りずとも活躍できると思ったのです。「海外で経験を積み、帰国して、日本のトップになる」キャリアプランを選択し、起業家の先輩達に肩を並べられるようになりたい!と強く思いました。
ベトナムで親戚がベンチャーIT企業をやっていた関係で、すぐに夏休みを活かして視察にいき、ここで勝負をすると決断。決断の後は、すぐにベトナムで働くことにしました。
「27歳、0からのスタート」と「成り上がり精神」
親戚の会社では、27歳社会人にして、住居と食事のサポートを頂きながら、無給の丁稚奉公として働きました。そこではたくさんの経験と人脈を得ることになり、同時にベトナムでのビジネスの仕方なども学び、今のベースとなるものができました。しかしながら、来越から一年経つ中、個人としても会社としても、描いていたような結果が出ず、貯金もなくなってきて…。
改めて自分の人生、将来に対する危機感を覚え、
「どうやったら這い上がれるか。」
「なぜ、自分はこの地にきたのか。何をしたいのか。」
と自問自答を繰り返し、ビジネスチャンスを模索していた時に、現在の「ポステ」を共同経営している相方2人と出会いました。同じビジョンを持っていたこと、彼らにWEBの知識がなかったことで仲間として迎え入れてもらい、会社を辞めてついに独立することになりました。
意思が固まるまでのもやもや期間は長いですが、その間に一生懸命考えて、結論が出た時にはすぐに行動してしまいます。リスクを考えてしまう時は、それはまだ自分のしたいことではないと思うからです。
最初の半年は稼ぐのが大変で、生きるため必死でした。いつも心にあったのは「成功して今の生活から這い上がりたい」とか、「自分の描く、理想の自分を実現させたい」という、いわゆる「成り上がり精神」でした。
ただ、来越から4年、やっと人並みの生活をできるようになった時に、
「何でこんな苦労する道を選んだんだろう?」
とも思いました。ふと将来を不安に思うことももちろんありましたが、守りには決して入らず、新しい事業に意欲的になることで乗り越えてきました。
ただ、今は「お金持ちになりたい」とか、「成功したい」という欲望だけの感情はあまりなくて、今度はビジネスのフィールドを他の東南アジアに展開して、点から面で抑えるビジネスに挑戦したいという気持ちが強いです。
ベトナムでゼロからここまでやってこられたのが本当に楽しかったので、出来ることならタイやカンボジアなどで、また起業してみたいですね。わからないことも多いですが、「同世代の日本人でもっと凄いことやってる奴がいるんだから、自分にもできるはず!」という気持ちでやっています。
海外で働きたい20代へのメッセージ
「ポステ」で働く大学生のインターン生にもよく言っていますが、キャリアに対する明確なビジョンがなく、「ただ海外で経験がしたい!」というだけで海外で働くと行き詰ると思います。
だから確固たる軸がないと、将来に対する不安や海外生活にマンネリを感じた時に、すぐに次の選択肢を考え始めてしまう。それは不安に繋がり、「日本に戻って働こうかな…」となる。それで、20代半ば・ベトナム滞在1年半くらいで帰国してしまう人が多いですね。
元来、意欲的な人たちだからこそ次を考えてしまうわけなので、海外で働くということに関し、語学力や専門知識を活かしたい!とか、文化交流をしたい!など、明確なビジョン・目標を持って挑戦して欲しいと思います。
取材を終えて
1時間半のインタビューでしたが、元尾さんの半生からは「成り上がってやる」という気合いと行動力の強さが感じられました。一生懸命自分なりに考え、明確にビジョンが見えたからには迷わず行動する――。
言葉にすると当たり前のように見えても、普通の人にはなかなかできないことです。キャリア等、人生における大きな選択をする際に、元尾さんの言葉を思い出して行動していきたいと感じました。
元尾さん、貴重なお話をありがとうございました!